「ピロリ菌」という名前を聞いたことがある方は多いと思います。ピロリ菌は胃に住みつく細菌で、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因の一つとして知られています。
一方、「カンジダ」はお口の中や腸などに存在する真菌(カビ)の仲間です。
健康な人にも存在していますが、体調不良や免疫力の低下、お口の乾燥などがあると増えやすくなります。
最近発表された研究で、とても興味深いことが報告されました。それは、「ピロリ菌がカンジダの細胞の中に入り込んで生きている可能性がある」というものです。
研究では、患者さんから採取したカンジダを詳しく調べたところ、カンジダの内部からピロリ菌の遺伝子や成分が検出されました。
さらに、ピロリ菌が生きていることを示す反応も確認されました。 これまでピロリ菌は胃の中だけで生きていると考えられてきました。
しかし、もしカンジダの中に隠れて生きることができるなら、薬が効きにくくなったり、生き残る手助けになったりする可能性があります。
歯科の立場から特に注目したいのは、お口の中にもカンジダが存在することです。
高齢者の方、入れ歯を使っている方、お口が乾きやすい方では、舌や入れ歯の表面にカンジダが増えることがあります。
現時点では、「お口のカンジダがピロリ菌の再感染の原因になる」と証明されたわけではありません。
しかし、この研究によって、お口の環境と胃の健康がこれまで考えられていた以上に深く関係している可能性が見えてきました。
毎日の歯みがきだけでなく、舌の清掃や入れ歯のお手入れを丁寧に行うことは、むし歯や歯周病、誤嚥性肺炎の予防だけでなく、将来的には全身の健康維持にもつながるかもしれません。
お口は食べ物の入り口であり、全身の健康の入り口でもあります。
新しい研究が進むことで、「お口の健康を守ることが胃や腸の健康を守ることにつながる」という考え方が、さらに広がっていくかもしれません。